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アーリッカ(aarikka)

アーリッカ
パウリーナさん

「幸せと喜び」伝えたい

始まりは母親の木製ボタンから

 

北欧の素朴なデザインに魅了される人が増えている。その魅力を知るためフィンランドのデザイン界をリードする「アーリッカ」社、デザイン・ディレクターのパウリーナ・ア-リッカ氏に話を聞いた。

「アーリッカ」デザインの始まりは、1954年、服飾デザイナーを目指していたパウリーナさんの母で創業者カイヤ・アーリッカが自分のデザインした服に合う手製の木のボタンからだ。当時はほとんどのものは自分の家で賄う生活意識が浸透し、材料の木材も近所の森から調達したものだ。

パウリーナさんにデザインの特徴は「重々しさよりもユーモア」だと言う。特に「アーリッカ」製品のデザインは共通して丸みを帯び、主な材料はフィンランドの松あるいは白樺の木だ。

「木は最も美しい素敵な材料であり、人が温かみを感じる。そこに色を塗れば同じ形だとしても異なる美と感覚を醸しだすことができる」と語る。

デザインを通じて伝えたいメッセージは「幸せと喜び」だと言う。さらにフィンランドのデザインの今後の在り方を尋ねると、彼女は一言「オリジナル」と答えた。デザインもグローバル化の傾向がある。しかし、フィンランドのデザインはデザインが出発した原点を大切にしていく。「アーリッカ」のデザインの原点は何よりもフィンランドの良質の木であり、自然をモチーフとしている

 

フィンランドのデザインは素朴さの中に美を感じると一般的に言われ、また、体験するデザインだとも言われている。パウリーナさんは「確かにシンプルだが、単なるシンプルではない」という。平らではなく丸みがあり、すべて職人の手を経たものだ。「アーリッカ」は世界的ブランドとして、主流はジュエリー、さらにインテリアグッズ、キッチングッズなど、自然の素材の温もりと美を引き立たせるデザインとして知られ愛されている。

​イッタラ(iittala)

イッタラ

時を超え愛されるデザイン


機能的で品質にこだわり永続的なデザインこそデザインの本質だと強調するのが、フィンランドが世界に誇るデザイン・ブランド「イッタラ」だ。
「イッタラ」は、1881年首都ヘルシンキから120㎞離れたイッタラという地でガラス製品作りから始まった。 その小さな村から始まった「イッタラ」は、1930-40年代、アルヴァ・アールトと妻のアイノ・アールト並びにカイ・フランクらのデザインの基盤によりいまや北欧を代表するテーブルウェアの総合ブランドだ。
日常生活の中で代々愛され続けられるデザインでなければならないと強調する「イッタラ」は、「時を超えたデザイン」を説く。 事実、「イッタラ」の作品の多くは、長い歴史があり、「イッタラ」独自のユニークな方法で、長年、フィンランドの人の生活に溶け込んできた。


その中でも建築家でもあるアルヴァ・アールトが1936年デザインしたアールト・ベースは、20世紀のシンボル、代表するデザインと言われ、フィンランドの湖の形をモチーフとしたといわれるラインの美しさは、今日の人々をも魅了し、アールトの妻、アイノ・アールトが1932年にデザインしたアールト・グラスは、ミラノ・トリエンナーレ展(1936)で金賞を獲得、シンプルだが美しいデザインは、時代を超えて今日の人々にも愛され使われているのだ。


また「イッタラ」デザインを代表する陶器のティーマシリーズを生み出したカイ・フランクは、一切の装飾を取り除いた機能美のあるシンプルなデザインを追求した。昔の人々が生活に必要なもの求めて作成した工芸品の持つシンプルな機能美を追求したデザインは「フィンランド・デザインの良心」とも言われ、現代デザインの基礎を築いたと称され、多くの国のデザイン博物館に展示されている。
彫刻家でありデザイナーの一人、ペッカ・パイカリさんに、デザインのインスピレーションはどこから得るのかと伺うと、「課題から」と即答された。「何を解決すべきなのか」からデザインは始まる。その中で最もシンプルな解答こそが最高のデザインとなるという。機能性の上にデザインの美を引き出す。 したがって文化歴史から学ぶものは多いと言う。

アルテック

​アルテック(artek)

情緒的「芸術」と理性的「技術」の融合

アルテックはアルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、マイレ・グリクセン、ニルスーグスタフ・ハールの4人の若い理想主義者たちによって、1935年に設立された。アルテックの背後にある価値は、「時代を超えたデザイン、故品質、そしてデザインに込められたイデオロギー」です。アルテックは、芸術と技術の融合を通じて、木材を主原料としたモダンな家具の創造と制作を追及すると同時に、最高の品質を求めてきた。アルヴァ・アアルトの強固な無垢材を90度に曲げる技術である「L-レッグ」システムは、アルテックの家具デザインの基礎となり、50以上の製品に応用されている。アルテックはアルヴァ・アアルトの「すべての人々の暮らしに良いデザインを」という構想とともに、モダンデザインの自由性と多様性をも追及してきた。4人の創業者が設定した基準とシステムの独自のアイデアを維持するとともに、当初のデザインから時を経て試された本来の温もりと柔らかさを与えてくれる。アルテックは今日においてもモダンデザインへの最も革新的な貢献者としての位置を維持しているといっても過言ではないでしょう。

We Love Wood​(s)

​フィスカルスでの木材工芸品展

WeLoveWoods

ヘルシンキから約100キロの地点に、美しい自然に囲まれたアーティストの村、フィスカルスがある。この村は1649年、製鉄所のフィスカルスから始まった。今ではこの村に100人余りのアーティストが住んでいるのだ。そのフィスカルスで木材手工芸の展示会が2015年に開かれ、フィスカルス近郊の木材手工芸家たちをはじめとした多くの手工芸家たちの木材手工芸を見ようと多くの人々が訪れていた。木の素材を生かし、自らの持つ技術を駆使した手工芸品は、木の持つ暖かさと美しさを兼ね備えたものだ。「WE LOVE WOOD(s)」と題した展示会はまさにフィンランドの古来の森林文化伝統が表れだ。

フィンランドは森と湖の国だ。その森の木を代弁するかのように、展示された手工芸品は、自然の美と思いやりを語り掛けてくれるようだ。

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