フィンランドの人口は現時点で約550万人だが、統計局は9月末、人口は2034年に減少し始めると発表した。昔の統計局の予測では少なくとも2060年までは増加し続けると見込まれたが、今回の発表で少子高齢化社会の加速がクローズアップされた。
多くの地域で人口減少が進む中、増加する可能性のある地域は首都圏を含め3地域のみとなる。人口構成も変化し、およそ50年後には若者の数が20万人減少、生産年齢人口は30
万人減少する一方、年金生活者(65歳以上)は40万人増加するという。
子育てに関し、妊娠期から就学まで支援するネウボラという十分な体制が整ったフィンランドで、なぜ少子化が進むのかという疑問もある。これに対し専門家は、子供を持つことよりも子供に人生を左右されない個人としての幸せを求める人が増えていると説明しており、また、雇用形態も影響しているという。
それは、企業にとって正社員の解雇は難しいため、正社員採用のハードルは高く、特に若い人たちは契約社員が多く将来の見通しが不安になる。このため正社員に採用されるまで子供を産まない女性が多い。つまり、高齢出産となるケースが増え、少子化となるわけだ。
今回の発表では一つ朗報があった。リモートワークが奨励された昨年、出生率の低下が9年ぶりに止まったのだ。さまざまな困難な状況をつくり出したコロナ禍だが、悪いことばかりではなかったようだ。
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