2月28日は「カレヴァラの日」、いわゆるフィンランドの文化の日だった。カレヴァラはフィンランド、特にカレリア地方で口頭伝承されてきた6万もの詩、民謡、伝説、神話を、冒険家であり医師でもあるエリアス・リョンロートが編集し1835年に「古カレヴァラ」といわれる『カレワラ・フィンランド民族太古よりの古代カレリア民詩』を発表、その後、それを増補し1849年に全50章からなる最終版を出版、フィンランド文学の最も重要な作品の一つだ。さらに、カレヴァラはフィンランド芸術にも大きな影響を与えてきた民族叙事詩であり、影響を受けた芸術家の一人として、フィンランドの作曲家ジャン・シベリウスも、カレヴァラに関連した音楽を多数作曲している。「カレヴァラの日」は1835年の最初の出版を記念し定められ、この日には国旗の掲揚がなされ祝われる。民族叙事詩であるカレヴァラは、「英雄の地」の意味で神話上の英雄とヒロインの物語を通じて行儀作法や人生の生きる術などの古代の知恵を伝えており、民族古来の伝承内容がフィンランド文化を覚醒させ、他国の支配下におかれてきたフィンランド人たちの民族意識を高め、1917年ロシア帝国からの独立を導くのに多大な刺激を与えたとも言われている。
フィンランドでは小学校から高校に至るまでカレヴァラを学び、また、カレヴァラのキャラクターは、多くの企業名や地名にも使用され、さらには、フィンランド人の人気の名前にもなっており、単なる古代叙事詩としての文学作品ではなく、現在社会に脈々と息づいているのだ。
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