トゥルク市立美術館 | 伝統工芸のデモが行われるルオスタリマキ工芸博物館―かっての大火事で焼けずに残った一画 | 大聖堂の祭壇の絵画 | 大きな岩盤の切り壁に張られた大きな蜘蛛の巣ーオウティ・サルヤコスキ作の「ネットワーク | 対岸から見るアボアヴェトゥス&アルス ノヴァ博物館兼美術館. | 世界で現在最後の3本マストの木造船 | 市立美術館の敷地に建てられた白鳥の像 |
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歩行者専用の「劇場」橋 | マーケット広場 | ルオスタリマキ工芸博物館でデモを行う男性 | ルオスタリマキ工芸博物館内でデモを行う女性 | 海事博物館の前に咲いている雛菊 | 市立美術館の近くの建物の前に立っているレーニン像 | フォールム マリヌム海事博物館の展示船のひとつーフィンランドの軍艦 |
フォールム マリヌム海事博物館 | フォールム マリヌム海事博物館 | トルク大聖堂. | トゥルク城 | スウェーデン人のフィンランド総督パール・ブラへの銅像 | アウラ川西岸のボートの停留所の橋に天に向かって上がっているアセム・キュン作の「ハーモニー」 | アウラ川岸の小さな公園の中に建てられた像 |
アウラ川岸に立っているナイスな建物。かってはトゥルク市庁だった。 | アウラ川岸 | アウラ川岸から見る大聖堂の塔 | 1903年に建てられた図書館 |
古都トゥルク
バルト海に面する都市トゥルクは1222年に築かれたフィンランドの中では最古の都市で、フィンランドの南西に位置する。1812年まで首都であり、歴史的にスウェーデンとのつながりが強い都市でスウェーデン語ではオーボと呼ばれる。 古都トゥルクには、1280年代に建設された城、1300年に献堂された大聖堂、そしてフィンランド初の大学が1640年に創立された都市で、約17万人が住んでおり、文化活動を大切にする都市で2011年にはヨーロッパ文化首都として多くの人々が訪れた。
トゥルクには空港や波止場があるが、ヘルシンキから電車並びにバスで日帰りの旅ができる。 今回、エクスプレスバスで朝、ヘルシンキのバスターミナル(カンッピ)からトゥルクの大聖堂まで乗り、トゥルク市の観光局が推薦しているアウラ川沿いを写真を撮りながら散策した。アウラ川はトゥルクの中心を流れる川で、両岸は人々が散歩を楽しめる小道が整備されており、疲れたらベンチで休憩しながら周りの風景を楽しむことができるのだ。
今回は、フィンランドが世界に誇る作曲家シベリウスの博物館とトゥルク大聖堂をまずは観光し、川の北岸から散策することに決めた。シベリウス博物館には、シベリウスの生涯と作曲活動に関する資料などが展示されており、春と秋には室内音楽コンサートも毎週催されるとのことだ。 すぐ近くの大聖堂は、さすがトゥルクが誇る大聖堂だけあって歴史を感じさせる建物だ。中に入ってみると意外に落ち着いた雰囲気を感じたが、正面の祭壇に飾られている絵画は飾りつけは見事なものだ。 朝の10時ごろではあったがすでに多くの人たちが訪れていたのもうなずける。大聖堂を後にし、アウラ川の北岸を歩き始め立派な建物のレストランを眺めながら先に進みアウラ橋の通りを右に回ると、丘の上に石造りのトゥルク市立美術館が見える。ここにはフィンランド美術黄金期と言われる1865年から1910年までのコレクションがある。 ただ驚いたことに美術館の前の建物の前に何とレーニンの像があった。
美術館に行く途中には、マーケット広場があり、夏だということもあって衣料や装飾品だけではなく取れたてのベリーや野菜が多く売られていた。
美術館がある丘を下り再び川岸にたどり着くと、1700年に建築されたというクゥエンセル邸の中に設けられた薬の博物館があった。 さらに進んでいくと対岸にオウティ・サルヤコスキ作の大きな蜘蛛の巣が表れた。はじめは単なる岩場の穴をふさぐものかと思ったが、地元の人に聞くと、蜘蛛の巣ではなく「ネットワーク」という作品だということだ。 南岸にある建物や川に停泊している船を眺めながらさらに進み最後の橋マルッティ橋を過ぎると大きな船舶が目立ち始めるなど様相も変わる。ムーミンワールドがあるナーンタリに向けて運航する蒸気船ウッコペッカ号が停泊していた。 ウッコペッカ号に乗ってアーキペラゴを見ながらナーンタリに行くのは次回にして、さらに波止場に向かって歩くと、クジラの尾ひれが天に向かって上がっているのが見えた。クジラの尾ひれの作品かと思いきや、アセム・キュンの作品「ハーモニー」なのだ。 尾ひれの部分には色の調和、ハーモニーが表現されているというわけだ。 「ハーモニー」を過ぎるとヴァルビントリ広場にあるトゥルク音楽学校並びに芸術アカデミーの学舎、マリオ・メルツ作の「フィボナッチ数列」があるトゥルク電力の煙突がある。 さらに川岸を歩くと、大型船舶やクレーンが目立つようになる。 港近くには大きな雛菊の作品がフォールム・マリヌム海事博物館前に横たわっており、また博物館の展示船である「フィンランドの白鳥」と呼ばれるスオメン・ヨウツェン号が停泊している。 その博物館の後ろに見えるのが、北岸の最後の見所トゥルク城だ。 トゥルク城は海からの侵略を防ぐために13世紀末に建てられた城で王侯貴族の居城でもあった。現在は城内を案内してくれるガイド・ツアーがあり、かっての文化を理解することができるようになっている。 城を後にし来た道を少し引き返し対岸に渡るため、100年余りにわたって運行されてきたケーブルフェリーに乗り込んだ。 対岸につき今度はみなと逆の方向、つまり大聖堂に向かって散策した。最初の見所はヴァイノアールトネン美術館で、1976年、トゥルク出身の彫刻家ヴァイノ・アールトネンの偉業を記念して創立され、アールトネンの作品やモダン芸術も展示されている。 さらに川岸を大聖堂の塔が見える方向に進んでいくと、7mの深さから発見されたという中世の街並みの展示とフィンランドを含めた世界の現代美術作品が展示されたアボア ヴェトゥス&アルス ノヴァ美術館兼博物館が表れる。アボア ヴェトゥスは「古きトゥルク」という意味、アルス ノヴァは「新芸術」を意味しており、まさに新旧の世界が交差した美術館と言えよう。最後にルオスタリマキ工芸博物館を訪問した。この工芸博物館は1827年トゥルクが大火事に見舞われた時、町はずれだったルオスタリマキの一画は災害を免れた。この一画が工芸博物館として質素な民衆の生活様式を伝える場となったのだ。夏季には当時の服を着た人たちが伝統工芸のデモンストレーションが行うなど興味深い博物館だ。ここでしばらく当時の質朴な人々の生活の様子を思い浮かべつつ一軒一軒を興味深く見て回ることができた。
ヘルシンキからの日帰りの観光としてきたトゥルクだが、良い天気にも見舞われ、意外にも見どころが歩いて回ることができる範囲内にあり、また、おいしいランチ並びにコーヒーを味わう時間もあり、十分楽しめた充実した一日となった。ただ、一つ一つの見所をじっくりと時間をかけてすべてを回ることは少々厳しいかもしれない。訪れたい、見たいスポットのみに絞れば日帰りの観光は十分だと言えるかもしれない。